図  YOZANの新しい無線サービスに使う端末のイメージ
図 YOZANの新しい無線サービスに使う端末のイメージ
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 ポケベルやPHS事業を手掛けるYOZANは2005年2月10日,米Intel Corp.などが主導する無線通信規格「WiMAX」を一部に利用する定額の公衆無線LANサービスを2005年12月にも開始すると発表した(PDFファイルの発表資料)。本サービスの提供に先立って,フィールド実験を首都圏で2005年6月に開始する。日本でWiMAXを使う通信サービスの計画を明らかにしたのは同社が初めてである。

 当初のサービスでは,2種類の無線方式を組み合わせて使う計画。インターネットのバックボーンと光ファイバで接続した主幹基地局と中継基地局間は,固定無線通信(FWA)用のWiMAXの標準仕様「IEEE802.16d」(以下,16d)で接続する。中継用無線基地局とユーザー端末は無線LANの規格IEEE802.11シリーズでつなぐ。16dには2005年5月ころに利用可能になる5.47GHz~5.725GHzの周波数帯を利用する予定である。

 ただし,現在仕様を策定中の移動体通信向けWiMAXの規格「IEEE802.16e」の標準化が終わり,日本で利用可能になった時点で,16eに準拠したユーザー端末も用意する。この場合「下り通信は,主幹基地局とユーザー端末を直接接続し,上り通信は,中継基地局を介して通信する」(YOZAN)といった接続モデルを想定している。

 16d準拠の主幹基地局には英Airspan Networks,Inc.の製品「MicroMAX」を利用する。一方,中継基地局に置く無線LANの基地局やIP携帯端末は,YOZANと電話の構内交換機(PBX)などのメーカーであるベルネットが共同開発する。音声通話の方式にはIP電話で主流となっているSIP(session initiation protocol)を利用する。

 YOZANは既存のPHS基地局をWiMAXや無線LANの基地局に順次置き換える方針。2005年12月時点では,東京23区内に600局の主幹基地局と,4000局の中継基地局を展開する計画である。現行のPHSサービスは2006年前半にも新サービスへの移行を図るという。