今年はHP社にとって「移動性の年」と宣言する同社のSenior Vice President兼Mobile Computing担当General ManagerのTed Clark氏
今年はHP社にとって「移動性の年」と宣言する同社のSenior Vice President兼Mobile Computing担当General ManagerのTed Clark氏
[画像のクリックで拡大表示]

 米Hewlett-Packard Co.(HP社)は米サンノゼ市で全世界の報道関係者やアナリストを集めた戦略説明会を開いた。HP社にとって2005年は「移動性がカギになる年(Year for Mobility)」になると位置づけ,関連する機器やサービス,提携などを発表した(発表資料)。発表した戦略の中心は,企業の情報システム関連の製品群である。その一環として,HP社のSenior Vice President兼Mobile Computing担当のGeneral ManagerであるTed Clark氏(図1)は,「今年中にスマートフォンの製品を公開する予定」と語った。

 HP社のスマートフォンは,一般消費者向けよりも企業の社員向けを狙ったものという。今回の発表で同社は,PDAやノート・パソコン,社内の情報システムなど,同社の幅広い製品群を連携させて携帯機器や他の製品戦略を立てることを強調した。同社のスマートフォン戦略は,この戦略に沿ったものという。今のところ同社は製品の詳細を公開していない。市場調査会社の米Gartner, Inc.でMobile Computing担当Vice Presidentを務めるKen Delaney氏は,「企業の顧客は同じメーカから多くの製品を購入することを望むので,HP社の製品群にスマートフォンを追加することは成功の可能性がある」という。市場調査会社米Enderle GroupのPrincipleであるRob Enderle氏も,「HP社は幅広い携帯電話機に手を延ばすより,一つのニッチ製品に注力する方が勝ち目がある」とみる。

 なお,スマートフォン市場に参入しても,HP社がPDA市場から撤退するわけではないようだ。HP社のHandheld Business担当Vice PresidentであるRick Rosler氏は,こう指摘する。「ペン入力のPDAの市場が毎年縮小していることは確か。特に199米ドル以下の低価格製品群の減少が目立つ。だが,企業向けPDAにはまだまだ魅力がある。PDA全体の出荷が減る中で,我々のシェアは向上している」(同氏)。

 HP社によると,今回のイベントは携帯機器関連の戦略の口火を切るものだという。同社はこれから携帯機器関連の製品を頻繁に発表するもよう。同社のClark氏は「消費者向けの携帯機器は今後公開する予定」と語った。