対応機器に付くロゴと認証マーク。プロファイルごとに用意。
対応機器に付くロゴと認証マーク。プロファイルごとに用意。

——HDTVまでカバーしているが肝心の映像ソースはあるのか。

Lippoth氏 例えばHDTV対応のビデオ・カメラがある。せっかくHDTVで撮影してもDVDに記録する際には画面画素数をSDTVまで減らす必要があるが,Nero Digitalならそのままの画面画素数で映像を保存することができる。さらにNero Digitalは,オランダRoyal Philips Electronics社と米Hewlett-Packard Co.が開発したDVD+R/+RW媒体向けの著作権保護方式「VCPS」に対応している(発表資料)。VCPSとNero Digitalに両対応した録画機が出てくれば,DVD+R媒体やDVD+RW媒体にデジタル放送のHDTV映像をNero Digitalの形式で保存できるようになるだろう。つまり,次世代光ディスク規格の「Blu-ray Disc」や「HD DVD」に対応した機器に頼らなくてもHDTVコンテンツを録画して楽しめる(発表資料)。

——H.264の符号化/復号化ソフトウエアは自社で開発したのか。

同氏 H.264やHE(high-efficiency)AACなどコーデックは自社で開発した。中核技術は基本的にすべて自社開発するのが我々のポリシーだ。H.264についてはBlu-ray DiscやHD DVDで採用が決まっており,いずれにしても開発する必要がある。先行開発しておけば競合他社に対する優位点になる。ただし現在のところ対応しているH.264のプロファイルは「Baseline Profile」と「Main Profile」で,Blu-ray Disc規格で採用が決まっている「High Profile」には対応していない。

——民生機器でNero Digitalの採用は進んでいるのか。

同氏 既にデンマークKiSS Technology A/SがNero Digital対応のDVDレコーダを,ドイツSiemssen & Co. GmbHやTevion社,Xoro社がDVDプレーヤを発表している。米Apex Digital Inc.も2005年内に対応DVDプレーヤを投入する予定だ。対応機器にはNero Digitalのロゴと,前述のプロファイルの表記を含めた認証マークが付く。2005年内には同年に出荷されるDVDプレーヤの20%にこのロゴを付けたいと思っている。携帯電話機の対応については詳しくは言えないが,2005年3月10日からドイツで開催される「CeBIT 2005」で大きな発表を予定している。対応機器を増やすことができれば,我々のソフトウエアの売り上げ増にもつながる。相乗効果を狙いたい。

——Nero Digital対応の機器を作るための条件は何か。

同氏 まず我々が認定したメーカーのLSIが必要になる。現在のところは,米ESS Technology, Inc.と米Sigma Designs, Inc.の2社だが,他の半導体メーカーとも協議中だ。LSIは特殊なものではなく,現行のMPEG-4対応DVDプレーヤなどに一般に使われているものだ。基本的にナビゲーションなどを解釈し,実行するためのファームウエアの更新を施せばよい。次にNero Digitalのロゴを得るために認証作業を通過する必要がある。ほとんどの作業はメーカー側でできる。最終的なチェックは我々が請け負う。なお,ロゴのライセンス料については公にしていないが,それほど高価ではない。ライセンス契約を結んだメーカーにはNero Digital形式のコンテンツを作る機能などを備えたパソコン用ソフトウエアを無償で提供する。

HDTV映像をH.264方式で符号化。
HDTV映像をH.264方式で符号化。

符号化に当たって各種のオプションを選択可能。
符号化に当たって各種のオプションを選択可能。