図1 記録再生装置の外観
図1 記録再生装置の外観
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 韓国Samsung Electronics Co., Ltd.のBlu-ray Disc録画機「BD-R1000」は,基本的に電源回路基板と,デジタル信号処理回路基板,記録再生装置の3つの部分から成る。このうち,まず電源回路基板とデジタル信号処理回路基板については前編で説明した。残るは記録再生装置である(図1)。

 記録再生装置は,いわゆる5インチ・ベイに収まるパソコン用装置と大きさはほぼ同じで,4つのネジで録画機の筐体にしっかり固定されている。ただし,ディスク・トレイを出し入れするローディング機構や光ヘッドは,ゴム製のダンパを介して支えていた。つまり,機械的に宙吊りに近い状態にすることで,筐体に加わった振動がディスクや光ヘッドに直接伝わらないようにしてある(図2)。

 記録再生装置を取り外して裏返すと,Blu-ray Disc装置のフロントエンドLSI群が姿を現した。Samsung社はバックエンド回路に他社製LSIを多用したが(米Zoran Corp.の発表資料),フロントエンドLSIについてはそれと対照的に自社開発品を3つ使った。具体的にはBlu-ray Discの記録符号化/復号化や誤り訂正などを担う信号処理LSI,DVD/CD用の信号処理LSI,Blu-ray Disc/DVD/CD対応のRFアンプICである(図3)。

青紫色半導体レーザはソニー製

 フロントエンドLSIが載ったプリント回路基板を外して記録再生装置を再度裏返し,今度は同装置を覆う金属板を取り外すと,自社開発したもう1つの基幹部品である光ヘッドが姿を見せる(図4)。Blu-ray Discに向けた光学系とDVD/CD用の光学系を一体化した光ヘッドで,それぞれの光学系に対応した2つの対物レンズを備える(図5)。

 こうした2レンズ方式の光ヘッドは,松下電器産業やソニーも既に試作済みである(Tech-On!関連記事1)。しかし,製品に搭載したのはSamsung社が初めてである。ディスクと対物レンズの距離(作動距離)は,Blu-ray Discが0.5mm,DVDは0.9mm,CDは1.2mmという。アクチュエータは3軸可動品で,チルト補正が可能である。なお,青紫色半導体レーザはソニー製という。

自社開発にこだわり

 Samsung社はBlu-ray Disc録画機の製品化にあたって部品の自社開発をかなり強く意識したという。「高い競争力を維持するために,DVDの世代から自社開発にこだわってきた」(Samsung社の技術者)。例えばDVDに関して同社は,DVDレコーダに向けたチップセット「SmartRP」を開発し,自社のDVDレコーダに搭載している(同関連記事2)。今回は他社製を多用したバックエンドLSIについても「現在,自社開発を進めている」としており,今後は自社開発した部品の比率がさらに高まりそうだ。

図2 筐体に加わった振動がディスクや光ヘッドに直接伝わらないようにゴム製ダンパを使う
図2 筐体に加わった振動がディスクや光ヘッドに直接伝わらないようにゴム製ダンパを使う
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図3 フロントエンドLSIが載ったプリント回路基板
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図4 ローディング機構と光ヘッド
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図5 2レンズ方式の光ヘッド
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