修正の理由を坂本氏は,「デジタル家電やモバイル向けが飛躍的に伸びるという見方に間違いがあった」と説明する。「携帯電話機は,DRAM搭載機種の立ち上がりが予想より緩やかだった。デジタル家電は,アテネ五輪の効果が期待したほどではなかったことが大きい。デジタル・テレビやデジタル・カメラなどが機器メーカーの予測ほどは売れなかったために,2004年のクリスマス商戦は価格を引き下げてそれらの在庫を売ることになった。DRAMも2005年1月中は機器メーカー側の在庫調整の影響を受けるだろう」とした。
ただし,「これは成長のための調整だ。薄型テレビの価格が1インチ5000円を切れば爆発的な普及が望める。デジタル家電向けDRAM市場,携帯電話機向けDRAM市場ともに拡大基調であることは間違いない。メーカーの在庫調整も1月までで,2月からはDRAM市場は回復すると予測している」とし,長期的には見通しは暗くないことを強調した。
2004年10月~12月期は増収増益
2004会計年度第3四半期(2004年10月~12月)の売上高は対前年同期比109.2%増の561億3600万円だった。前年同期に90億5800万円の赤字を計上していた営業利益は56億3900万円,同じく97億5800万円の赤字だった純利益は33億8700万円を計上した。デジタル家電向け/携帯電話機向け製品の売上高も対前年同期比213.6%増の185億円と大きな伸びを示した。ただし,前回予想の前提になっていた250億~300億円の間からは低い水準にとどまった。
市場シェアについて,同社は「全体では10%程度。アプリケーション別にみると,携帯電話機向けは現段階ではほぼ100%もらった。今後,512Mバイト品で当社と韓国の某社とで争うことになるだろう。デジタル家電向けも50%以上は獲得できたとみている。サーバ向けは2.5~3割といったところ。これも競合相手は韓国だ」(坂本氏)としている。坂本氏は,「2005年は全体で15%を目指したい」と目標を掲げ,「サーバやデジタル家電,携帯電話機向けの高付加価値品に特化する戦略に誤りはなかったと考えている。今後も方針に変更はない」と,ゆるぎない自信を見せた。