2004年1月30日に東京地裁で下った一審判決では,604億円という高額の対価が認定され世間の注目を集めた。上図は当時の写真。
2004年1月30日に東京地裁で下った一審判決では,604億円という高額の対価が認定され世間の注目を集めた。上図は当時の写真。
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 青色発光ダイオード(LED)の発明者の中村修二氏が,元勤務先の日亜化学工業を相手に発明の対価を巡り争っていた訴訟は11日,控訴審の東京高等裁判所で和解が成立した。日亜化学工業が中村氏に,発明対価6億857万円と遅延損害金2億3534万円の計8億4391万円を支払うという内容。この金額は訴訟の争点となった特許(特許第2628404号)だけではなく,中村氏が関わったすべての発明(国内特許および外国特許)とノウハウを対象としている。すなわち本和解をもって,中村氏と日亜化学工業の係争は全面的な決着に至ったことになる。

 和解に至ったことを受けて,中村氏側の弁護団と日亜化学工業はそれぞれ談話を発表した。「企業発明における発明補償金の額を,単なる『ご褒美』から『発明の譲渡対価』へ転換させることに貢献した」(中村修二氏側の弁護団,発表資料はこちら)。「青色LED発明は1人の成果にあるのではなく,多くの人々の努力・工夫の結果であることを理解していただけた点は大きな成果だ」(日亜化学工業,発表資料はこちら)。

 本係争が和解に至ったきっかけは,2004年12月24日に開催された最終の口頭弁論において,東京高裁が中村氏側と日亜化学工業側の双方に和解に向けた話し合いを進めるように勧告したことに端を発する。なお,中村修二氏側の弁護団は1月11日の夕刻に,日亜化学工業は1月12日にそれぞれ記者発表を予定する。

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