HDTV動画を伝送
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電力線伝送用アダプタ。ルータ機能を備える
電力線伝送用アダプタ。ルータ機能を備える
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専用LSIを実装した
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 松下電器産業は,家庭内ネットワークに向けた電力線データ伝送のアダプタを開発,米国ラスベガスで開催中の「2005 International CES」に出展した。電力線を介して,ホーム・サーバ機からテレビ受像機にHDTVの動画データを伝送する実演を見せている。最大データ伝送速度は,ノッチ・フィルタを利用する場合に170Mビット/秒。利用する周波数帯は4MHz~28MHz。

 松下電器は前回のCESでも同様の実演を行っていたが,その際にはFPGAなどで構成する送受信回路を利用していた。今回の試作機では,電力線伝送用の専用システムLSIを新たに開発した。専用LSIには,マイクロコントローラのほか物理層回路とMAC層処理回路を組み込んだ。同LSIの最大消費電力は約2W。

 伝送方式はWavelet OFDMを用いた独自の方式である。業界団体「HomePlug Powerline Alliance」が策定中の高速伝送方式とは異なる。「HomePlug Powerline Allianceに,松下電器が提案していた方式を拡張して利用している」(松下電器産業の開発担当者)。松下電器は既に同団体を脱退している。松下電器と三菱電機,ソニーの3社で,高速電力線通信の推進で合意していることから,将来的に三菱電機やソニーの伝送方式と干渉無く利用できるようにするという。