試作したアクセス・ポイント
試作したアクセス・ポイント
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 NTTドコモは,家庭内ネットワークでの利用に向けたアクセス・ポイントを試作,2005年1月3日から米ラスベガスで開催中の「CCNC(Consumer Communications & Networking Conference) 2005」において発表した。IEEE802.11g方式の無線LAN機能のほか,USB,IrDA,NFCのインタフェースを組み込んだ。携帯電話機経由でダウンロードしてきたセキュリティ情報(WEPキーおよびSSID)を,NFCやIrDAを使いアクセス・ポイントに入力して利用する。「家庭内ネットワークの設定を行う際に,ユーザーがキーボードでセキュリティ情報などを入力するのは難解でかつ面倒だ。例えばNFCを使えば,携帯電話機をアクセス・ポイントに触れさせるだけで,セキュリティ情報の入力処理が完了する」(NTTドコモ ワイヤレス研究所の研究員)。携帯電話機への内蔵が進む近接無線技術を,家庭内ネットワークの構築に応用するアイデアである。

 NTTドコモが試作したアクセス・ポイントは,メッシュ型のトポロジに対応できる。メッシュ型のトポロジに対応することで,家庭のテレビ受像機やパソコン,ホーム・サーバ機などで大容量の動画データをやりとりする際に,ビットレートを高められるという。「例えばHDTVクラスの画像を2階のホーム・サーバ機から1階のテレビ受像機にストリーミング伝送する用途を考える。この際には壁などの障壁があるため,IEEE802.11gを使っても最大6Mビット/秒程度の速度しか出せない。そこに,メッシュ型のトポロジに対応する小型のアクセス・ポイントを中継器として設置する。見通しが悪くなりやすい階段などに置く。これにより,2階の機器とアクセス・ポイント,および1階の機器とアクセス・ポイントの間での無線LANのスループットが高まる。例えば36Mビット/秒で接続できる」(NTTドコモ ワイヤレス研究所の研究員)。

 CCNCの会場において,試作したアクセス・ポイントを使い,2階のホーム・サーバ機から動画データをストリーミング伝送するという設定の実演を行った。スター型のトポロジからメッシュ型のトポロジに切り替えると,テレビ受像機で表示される映像が滑らかになるという内容である。この際には多数のアクセス・ポイントが家庭内に必要になるが「こうしたアクセス・ポイントは,もっと小型にできる。小さく安価な中継器が宅内に多数配置されても,それほど違和感は無いと考える。テレビ受像機などに内蔵するよりも,こうした外付けの手法の方が,家電機器の買い替えなどに対応しやすい」(NTTドコモ ワイヤレス研究所の研究員)。

 2年ほど前から研究開発を進めていたが,試作したアクセス・ポイントを公開するのは今回が初めてという。今後様々な場所で試作機の実演を行いながら,評価を進めていく考えだ。

NFC,IrDA,Ethernetなどの機能を備える
NFC,IrDA,Ethernetなどの機能を備える
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CCNC会場でブースを設けて実演した
CCNC会場でブースを設けて実演した
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将来の利用シナリオには,家庭のみならず事業所なども含まれる
将来の利用シナリオには,家庭のみならず事業所なども含まれる
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