米Athena Semiconductors, Inc.と韓国Samsung Electronics, Co.,Ltd.は,共同でMIMO対応の無線LAN向けのRF用IC「TRINI」を開発した。送受信回路を3回路ずつ備えながら1チップに収め,実装面積を抑えた。2005年1月6日に開幕する「2005 International CES」では,同ICを使ってHDTV信号を2本とSDTV信号を1本伝送するデモンストレーションを行う。スループット(実効的な伝送速度)は50Mビット/秒を超えるという。

 TRINIの実現技術は,Athena社の「OptimRF」と呼ぶRF CMOS技術。ダイレクト・コンバージョン方式を採用し,受信したRF信号を中間周波数にいったん変換することなく直接ベースバンド信号に変換する。MIMOは同一周波数内において複数の信号を空間多重することにより,周波数の利用効率を上げる技術。次世代の無線LAN規格である「IEEE802.11n」で採用される見込みとなっている。

 TRINIは,Athena社を通じてOEMおよびODMに供給する。2005年第1四半期にサンプル出荷を始め,同第2四半期には量産を始める。