米国と日本ではデジタル・レコーダのマーケットが大幅に異なる――ことが分かった。日本市場は,DVDレコーダ(特にハード・ディスク装置内蔵型)が大繁盛しているが,米国では意外に伸びないという見通しをConsumer Electronics Association(CEA)主催の市場動向説明会で,CEAの上級アナリストであるSean Wargo氏が明かしたのだ。

 DVDレコーダ(ハード・ディスク装置内蔵,VHS装置併載を含む)は2003年に55万台,2004年に87万7000台,2005年には184万1000台になるという。これに対して,もっと伸びそうなのが,いわゆるDVR(ハード・ディスク装置単体のレコーダ)である。2003年に51万9000台,2004年には225万9000台,そして2005年には336万1000台と,ものすごい伸びを予測する。

 実績値および推定値としてなぜ,2003年と2004年の間でDVRがこれほど伸びたのかというと「価格が極端に安くなったからだ。ディスカウント店では80米ドル以下で売っていることもあるほど。ここまでアフォーダブルになったので,ケーブル・オペレータなどではDVRをセットトップ・ボックスに入れる動きが盛んになっている」(Sean Wargo氏)。

 この予測は我が国のそれとは大いに異なるものだ。我が国では「コクーン」をはじめ,ハード・ディスク装置単体のレコーダがヒットしたためしがない。売れるのはハード・ディスク装置でもDVD装置と一体になったハイブリッド・レコーダのみだ。それは,次世代の「Blu-ray Disc」や「HD DVD」の時代になっても変わらないだろう。

 日本のユーザーは、パッケージ・メディアに好きなコンテンツを落とせるかどうかを極めて重要視するが,米国の視聴者は,そんなことは意に介さないようだ。ハード・ディスク装置にためて,好きなように見ては消すというテレビ視聴スタイルが普通なのだ。あの重たいテレビ・ガイド本が,EPGによって追放できてせいせいするというのが,ユーザーの平均的意見なのだ。それに比べ,我が国のユーザーはパッケージ・ワイズだ。コレクションが好きな国民像が,浮かび上がる。

2004年に急激に伸びた「DVR」
2004年に急激に伸びた「DVR」
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