伊藤忠,多孔質シリコン事業で豪バイオベンチャーと提携
今回の提携を最終的な打ち合わせのため,2004年9月末にpSivida社の商品開発調査部長のRoger Aston氏が来日した。この時には,すでに両社の提携がほぼ決まっていたため,9月29日から10月1日まで東京都内で開催された「日経ナノテク・ビジネスフェア 2004」の会場で伊藤忠は,同社のブースでpSivida社の事業を紹介していた(写真)。
提携内容の詳細については今のところ明らかにしていないが,pSivida社の多孔質シリコンである「BioSilicon」を食品や栄養関連などの事業に結びつける活動からスタートさせる。伊藤忠は,ライフサイエンス,環境,材料,ナノテクノロジーの健康関連事業への展開などの新しい事業分野に注目しており,今回の提携をきっかけとして,これらの分野への事業を拡大したいと考えている。
pSivida社によれば,製品によって伊藤忠と独占的,非独占的に特許契約を結ぶと言う。pSivida社は現在,日本の他の総合商社やエレクトロニクス関連企業などとも事業提携で交渉を進めている。
なおpSividaグループの英pSiMedica社は,2002年にシンガポールにある国立のシンガポール総合病院と共同で末期がん治療を行うベンチャーのpSiOncology社をシンガポールに設立(関連記事)。2004年4月にBioSiliconをがん治療薬のキャリアとして用いるDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)で末期がん治療の臨床試験を開始した(関連記事)。ちなみにAston氏は,pSiOncology社のCEOも務める。
同氏によれば,2004年9月,pSividaグループは新しいベンチャーのAION社を設立(図1)。新会社は,BioSiliconをDDS用のキャリアでなく体液中に含まれるがん細胞の増殖などをタイムリーに映し出す「鏡」として活用する新事業(図2)を開始する。この新事業では,鏡で反射する信号を情報処理して医療に役立てるため,「当社単独で事業を行うのは無理だ。技術力の高い日本のエレクトロニクスメーカーで協力してくれるところを探している」と本誌に述べた。(黒川 卓)
【写真】pSivida社の事業内容をパネルで紹介していた「日経ナノテク・ビジネスフェア 2004」の伊藤忠商事ブース。右は来日したpSivida社 商品開発調査部長のRoger Aston氏。左は伊藤忠 先端技術戦略室 プログラムリーダーの中井 裕之氏

【図1】pSividaグループの組織図

【図2】pSivida社が2004年6月に設立したAION PTY社がこれから事業展開する予定のシリコンミラーを用いる健康状態測定システムの模式図













