ビタミンC60バイオリサーチ,フラーレンの安全性試験結果を発表
工業用途であれば,ある程度の溶媒残留は問題ないが,ライフサイエンス分野,特に医薬品の場合,医薬品原体の基準があって,使っていい溶媒から溶媒の濃度まで非常に厳しく決められている。このため,ビタミンC60バイオリサーチでは,まず通常のフラーレンの溶媒と不純物を徹底的に取り除き,精製したBio Fullereneを開発。医薬品原体の基準に達したものを,安全性試験にかけたのである。
Bio Fullereneの安全性試験を行ったのは,三菱化学安全科学研究所(通称:安科研)という国内最大手の安全性試験の受託機関。医薬,農薬,化学品など幅広い分野で実績をあげており,世界有数の研究所として知られている。
さて,医薬品の原体としての安全性試験は,GLP(Good Laboratory Practice),医薬品の安全性試験の実施に関する基準というガイドラインに従って行われている。国が要求している安全性試験は非常に厳しいもので,以下の9項目をクリアしなければならない。
・Acute oral toxicity testing(急性経口毒性)
・Primary skin irritation testing(皮膚刺激性)
・Cumulative application testing(累積刺激性)
・Skin sensitization testing(皮膚感作性 アレルギー誘発)
・Photosensitization testing(光感作性 アレルギー誘発)
・Phototoxicity testing(光毒性)
・Reverse mutation testing using microorganisms(変異原性)
・Chromosomal aberration testing using cultured mammalian cells(染色体異常)
・Human patch testing(人に付ける)
Bio Fullereneはこの安全性に関する試験すべてをクリアしたため,医薬部外品として基準を満たすことができたのである。
「フラーレンに関して,当社が世界中の事例を調査した結果,学術研究目的の試験はあっても,このようなGLP試験を行った例は無いと言われています。GLPでの実験結果は,アメリカの労働安全衛生局(OSHA)のMSDS(物質安全データシート)など公開されているデータとすべて互換性がありますから,この試験での評価は国内だけでなく,世界にも通用する。そういう意味では非常に画期的なことだと思っています」(ビタミンC60バイオリサーチ社長 松林 賢司氏)
もう一方のRadical Spongeについては,広島県立大学 生物資源学部 教授の三羽 信比古氏らの研究グループと共同研究プロジェクトを行っており,これについても新たな実験結果が得られた。具体的な例を示してみよう。
まず,Radical Spongeの細胞生存率の濃度・経時変化だが,この実験にはヒト皮膚角化細胞(HaCaT)を使った(図1)。Radical Spongeの基準は25μM(モル濃度:mol/1000mL)で,この量は化粧品として利用できるレベルだという。実際の実験では,4倍の100μΜであるが,50時間で生存には問題がなく,100μΜの4倍の400μΜでも生存率は高く維持されるという結果が出た。
次の例は,ヒト表皮の基底層にあるメラノサイト細胞(図2)。10μΜから1000μΜまでのレートで毒性試験を行ったもので, Radical Spongeとポリマーを入れたものとを比較したものである。グラフからわかるように,Radical Spongeのほうが細胞に負担をかけないという結果が得られた。
これ以外では,例えば可視光の光毒性実験,紫外線A波によるヒト皮膚メラノサイト細胞のDNA鎖切断など,医薬品原体の安全性試験に匹敵するような実験が行われた。前者の実験では,ヒト皮膚角化細胞(HaCaT)への可視光(300W)30分照射の24時間ごとの3回照射で試験した結果,統計有効性のある光触媒活性は認められなかった。また,後者においては,Radical Sponge50μMをメラノサイトの一種であるHMV-IIにプリトリートメントして, 50J/cm2 というエネルギーの紫外線A波を照射した場合,DNA切断はRadical Spongeによって防御されたという。
このように,「Bio Fullerene」と「Radical Sponge」についての安全性試験は,第三者の委託機関によるものと,大学との共同研究であるが,国内外を通じてここまでの試験評価を行ったケースはほとんどないといっていい。もちろん,学術的なアプローチでさまざまな実験を行っている大学や研究機関は数多くある。しかし,ビタミンC60バイオリサーチのような一企業が,地道ながらも積極的に活動を続けていることは,非常に高く評価できよう。(佐藤 銀平)

【図1】Radical Spongeの細胞生存率の濃度・経時変化

【図2】ヒト表皮のメラノサイト細胞に対するRadical Spongeの毒性試験
















