KDDI,地上波デジタルTV携帯電話機に燃料電池内蔵へ
現時点でKDDIと共同開発契約を結んだのは,東芝と日立製作所の2社。それぞれKDDIと個別の契約で,東芝と日立はそれぞれの技術を基に独自に技術開発するとともに,燃料注入口などのユーザー・インタフェースに関しては共通にする予定。「共同開発相手は2社に限っていない。また,携帯電話機用燃料電池の開発で先行することで,他社がサービスする携帯電話機にも搭載できるように標準化を先取りする」(村上氏)と同社は携帯電話機用燃料電池の開発に関して積極的な戦略を描いている。
KDDIが燃料電池搭載携帯電話機について具体的な開発計画があるのは「ユーザーの使い勝手を重視している」(村上氏)ため。同社の調査によると,携帯電話機ユーザーが今後携帯電話機に望む新機能としてはテレビの視聴が圧倒的だ,という。同社は品質が高く機能が豊富な携帯受信機向け地上波デジタルテレビ放送サービスの開始とともに,ユーザーのテレビ視聴機能という要望にこたえる予定。
実際同社は,研究開発成果として,2004年7月21日から開幕した「ワイヤレスジャパン2004」では,既存の「W11H」をベースに地上波デジタルテレビ放送サービス受信機能を付加した携帯電話機を使い,対応コンテンツのデモンストレーションしている(写真2)。デモに使っている受信機能モジュールは外付けであるが,実際のサービス開始時には受信機能を内蔵した携帯電話機を発売する予定。
ただし,実際の実用化には,現時点での連続稼働時間が2時間にとどまっているという課題がある。実際のサービス開始時の機種では,テレビ視聴時の電流は待機時の約2mAと比較して「約200mA」(沼田氏)と予想しており,消費電力が多くなるためだ。「最近警察では警察無線に替えて携帯電話機を使う動きが出るなどビジネス用途も増えてきており,携帯電話機の電池駆動時間が2時間では,いざというときに通話できなくなる危険性が問題になる」(村上氏)として,電池駆動時間を延ばす必要がある。
KDDIは,この問題を解決する方法として,Liイオン電池と比較してエネルギー密度が高い直接メタノール式燃料電池(DMFC)を内蔵することを選択した。さらに,燃料のメタノールを補給することで充電動作を必要とせず連続的な稼動も可能となる。
共同開発は,とりあえず携帯受信機向け地上波デジタルテレビ放送サービスが始まる2年間の計画。一気に燃料電池内蔵携帯電話機を開発するのではなく,2004年末までには第一次試作として外付けの燃料電池を開発する。そして,2005年末までには第二次試作として燃料電池内蔵携帯電話機を開発する。
現在,第一次試作の外付け燃料電池(写真3)の仕様を決めている段階。「通話用の電力を確保するため,テレビ視聴時には携帯電話機内蔵のLiイオン電池から電力を供給するのではなく,外付けの燃料電池からコネクタを介して携帯電話機に電力を供給する」(村上氏)という方式になる。燃料電池の「出力は4V,200mA,稼働時間は10時間」(沼田氏)を想定している。
第二次試作に関しては,KDDI側からは具体的な燃料電池の構造や採用する材料・部品に関しての要求はないが,燃料循環ポンプや給排気ファンを搭載しないパッシブ型DMFCを開発する。また,既存のLiイオン電池の体積が10cm2であるのに対し「燃料電池の体積は20cm2に抑えたい」(沼田氏)という意向もある。(神保 進一)

【写真1】KDDI 執行役員 技術開発本部長 村上 仁己氏(右)と技術開発本部 開発推進部 次長 沼田 憲雄氏

【写真2】KDDIがデモンストレーションしている携帯受信機向け地上波デジタルテレビ放送サービス受信機能を搭載した携帯電話機。既存の機種をベースに受信機能を外付けしている。実際のサービス開始時には受信機能を内蔵するとともに,長時間稼動をねらって燃料電池も内蔵する予定

【写真3】第一次試作の外付け燃料電池のイメージ図。出典:KDDI













