東大染谷助教授ら,圧力センサー付き人工皮膚の構造を明らかに
有機トランジスタのモビリティ(電荷移動度)はSiトランジスタのそれと比べ2〜3桁小さい(遅い)が,染谷氏らはモビリティが小さくても大面積センサーなど応用できる分野があるとしており,今回有機トランジスタと圧力センサーと集積した人口皮膚を開発した。
写真2に,今回開発した人工皮膚の模式構造を示す。内部は下から,(1)有機トランジスタ(OFET),(2)スルー電極(via),(3)ゴムシート圧力センサー(黒色部分),(4)トップ電極---の各シートをフレキシブル・プリント基板の技術を使って張り合わせている。圧力センサーを除く基盤(緑色部分)にはプラスチック・フィルムを用いており,ロボットの骨格に合わせて曲がるようになっているのが特徴だ。基盤の材料にはポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂のフィルムを使っている。PEN樹脂はポリエチレンテレタレート(PET)樹脂と比べて耐熱性が高く,ガス浸透性が低い。それぞれの基盤の厚さは,OFET層が75μm,スルー電極層が50μm,トップ電極層が25μm。圧力センサーの厚さは0.5mm。
OFETは,シャドウマスク法を使ったトップコンタクト構造。ゲート絶縁材料には京セラケミカル製のポリイミド(polyimide)「ケミタイト CT4112A」を使っている。膜厚は900nm。チャネル(青色部分)としてペンタセン(pentacene)を30nmまで蒸着する。ソース,ドレイン電極をつけたときのゲート長は100nm,チャネル幅は1.9mm(写真3)。このOFETのモビリティは0.5cm2/Vsで「プラスチック基盤上に形成した有機トランジスタとしては早い」(染谷氏)としている。
人工皮膚が圧力を感じると,圧力センサーの電気抵抗値がGΩレベルから数百Ωレベルまで下がり,OFETの電気特性が変化することで圧力を検知する仕組み。100μm×100μmの領域で6N以上の圧力で抵抗値が数百Ωまで下がる。 実際の人口皮膚としての動作は2004年2月に学会発表する予定。(神保 進一)

【写真1】東京大学 工学系研究科 量子相エレクトロニクス研究センター 助教授 染谷 隆夫氏

【写真2】有機トランジスタと圧力センサーを集積した人工皮膚の模式構造。出典:東京大学 染谷氏ら

【写真3】プラスチック基盤上に形成した有機トランジスタ。モビリティは0.5cm2/Vs。出典:東京大学 染谷氏ら
















