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HOMEスキルアップマネジメント > 東北大寒川研,中性粒子ビーム法で量子ドットを作製中

東北大寒川研,中性粒子ビーム法で量子ドットを作製中

  • 神保 進一
  • 2003/10/02 00:00
  • 1/1ページ
 東北大学 流体科学研究所 流体融合研究センター 知的ナノプロセス研究分野 教授 寒川 誠二 氏(写真1)は,中性粒子ビーム・エッチング法(写真2)を使った微細加工技術を研究している。直径が数ナノメートルの量子ドットを作製することで,電子デバイスへの応用することを検討している。

 中性粒子ビーム・エッチング法は「従来のプラズマ・エッチング法を微細加工に適用していく上での問題を解決する手法」(寒川氏)。プラズマ・エッチング法では,(1)加工部分に正イオンや電子が蓄積するチャージアップ,(2)プラズマから発生するX線や紫外線---の影響でトランジスタのゲート絶縁膜を破壊するなどの問題がある。さらに,微細加工の寸法が100nm以下になるとチャージアップによってエッチングする正イオンの軌道が曲がり,マスクパターンを忠実に再現することが難しくなる。

 すでに寒川研では幅50nm,深さ150nm,間隔200nmのパターンを中性粒子ビーム法で加工したことを発表しているが,現在は中性粒子ビーム法が数ナノメートル・レベルの加工にも適用できるかどうかを検証している。まず,その前提として数ナノメートル・レベルのマスクパターンを作製しなければならない。マスクパターンの作製に関しては,松下電器産業 先端技術研究所 主幹研究員 山下 一郎 氏とバイオナノプロセス使うことで共同研究をしている。

 つまり,遺伝子操作でつくったたんぱく質フェリチンは外径の直径が10nmレベルで,内部に直径数nmの空間があることを利用する。フェリチンと金属イオンを溶液中に試験管内で混合すると,フェリチンの中空中に金属粒子が入り込み,それをシリコンチップ上に塗布すると,フェリチンが自己組織化で2次元的に規則正しく並ぶ。その後500℃でフェリチンを焼くと,金属粒子だけが残り,直径が数nmで均一な量子ドットのマスクパターンが出来上がる。そのマスクパターンを使って中性粒子ビーム法によるエッチングを検証する(写真3)。

 バイオナノプロセスを使ってマスクパターンを作製する理由は,フェリチンの(1)内部に金属を内包する性質を利用して直径が均一なナノメートル・レベルの量子ドットを作製できる,(2)自己組織化を使用して,2次元量子ドット・パターンを作製できる---からである。この手法は,主に山下氏の研究成果を利用する。

 ただし,このバイオナノプロセスを実際の半導体製造時に適用するためには,従来の半導体プロセスとバイオナノプロセスを融合する,という課題がある。フェリチン中に金属粒子を内包させ,精製し,自己組織化を実現するための溶媒にはNaイオンが入っており,これが,製造する半導体特性を劣化させるからだ。

 寒川 氏の研究によれば,Naイオンの影響を避けるために人工フェリチンを使い精製過程でNaイオンがない溶媒を使ったとしても,フェリチンの自己組織化を利用するとNaが金属粒子内部に存在してしまい容易にNaを除去できないことが分かった。寒川 氏は,これらの問題を山下氏が解決することを期待するとともに,とりあえず,フェリチンの金属粒子を内包する機能のみを使って,マスクパターンを作製することにしている。金属を内包したフェリチンをスピンコーティング法で塗布する。

 寒川 氏によると,量子ドットを中性粒子ビーム法で作製した研究成果は2003年末には明らかにしたい,としている。(神保 進一)

【写真1】東北大学 流体科学研究所 教授 寒川 誠二 氏
【写真1】東北大学 流体科学研究所 教授 寒川 誠二 氏

【写真2】中性粒子ビーム・エッチング法の原理
【写真2】中性粒子ビーム・エッチング法の原理

【写真3】中性粒子ビーム・エッチング法で量子ドットを作製するプロセス
【写真3】中性粒子ビーム・エッチング法で量子ドットを作製するプロセス

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