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フラーレン・ナノチューブ研究会,第25回記念シンポ23日開幕

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2003/07/14 00:00
神保 進一
出典:日経ナノテクノロジー, (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)
 フラーレン・ナノチューブ研究会は,2003年7月23日〜25日に淡路夢舞台国際会議場で「第25回フラーレン・ナノチューブ記念シンポジウム」を開催する。フラーレン・ナノチューブ研究会は,C60フラーレンの大量合成方法が初めて明らかになった1990年の翌年,1991年に「日本化学会C60研究会」として設立,「C60総合シンポジウム」を開催した。その後研究領域の広がりとともに,日本化学会から独立,研究会の名称を「フラーレン研究会」→「フラーレン・ナノチューブ研究会」とし,総合シンポジウム開催も今回で25回目になる。

 今回のシンポジウムは25回の記念大会として位置付け,初日の7月23日(水)は,フラーレン・ナノチューブ研究会代表幹事 篠原 久典氏(名古屋大学 大学院理学研究科 物質物理専攻 教授)(写真1)の「フラーレンおよびナノチューブ会議の歴史と将来」と題する講演で始まる。

 篠原氏は,1985年にRichard Smalley氏らがC60フラーレンを発見したころから,C60合成法の研究に着手した。また,Wolfgang Kratschmer氏が雑誌「Nature」にC60の大量合成方法に関する論文を発表する直前に,その方法によって合成したC60を世界で最も早く見た研究者の一人でもある。グラファイトをアーク放電したときに生成する“すす”にC60フラーレンが混じっているというもので(写真2),現在でもこの改良型がC60生成法の一つになっている。

 その後,1991年3月にC60が高温超伝導材料になることが発見されるなど,C60の研究開発に注目が集まり,91年5月に篠原氏など日本のC60研究者たちが集まったシンポジウム(第0回フラーレン・ナノチューブ総合シンポジウム)を,そして91年9月に研究会組織として初めての「C60総合シンポジウム」(第1回フラーレン・ナノチューブ総合シンポジウム)を開催した。

 当時,篠原氏は最前線でC60の研究開発で活躍していたことから,Kratschmer氏が天文学の研究をしていて偶然C60を大量合成していたことに気づいた点や,Kratschmer氏の論文発表直前に実物を見ることができた裏話などを披露する。

 篠原氏の講演に続いて,カーボンナノチューブを初めて発見した飯島 澄男氏(名城大学 理工学部 材料機能工学科 教授)が「カーボンナノチューブの現状と今後」と題して基調講演をする。また,会期中は米IBM社のJoerg Appenzeller氏が「Electronic transport in Schottky barrier carbon nanotube field-effect transistors」と題して講演するなど,計6件の招待講演を用意している。

 フラーレン・ナノチューブ研究会が主催する総合シンポジウムは「学会組織が主催するシンポジウムと比べて,発表者が所属している学会や研究分野に関係なく自由な雰囲気で討論できるのが特徴」(篠原氏)。また,最近は,発表内容が基礎研究から産業化を意思したものに大きくシフトしていることも特徴だ。

 今回の実行委員長の谷垣 勝己氏(大阪市立大学 大学院理学研究科 教授)(写真3)は「口頭発表53件,ポスター発表115件のうち約20%は企業からの発表である。燃料電池や高品質合成法など大学からの発表でも直接特許取得に関係している発表も多い」と指摘している。「参加者は350人以上(前回実績は約250人)を見込んでいるが,そのうち40人以上は会員ではない企業に所属する人からの聴講申し込み」(谷垣氏)と,産業界からの期待も高い。

 なお,会期前日の7月22日にはフラーレン・ナノチューブ研究会とは独立した「フラーレン若手の会」が「大阪市立大学ナノテクノロジーフォラム」と共催で,「フラーレン若手の会・第6回セミナー」を大阪市立大学で開催する。今回のテーマは,「ナノテク最前線:フラーレンおよびナノチューブの生成機構---いまどこまで理解されているか---」。まず,ナノ炭素研究所 社長の大澤 映二氏が「フラーレン・ナノチューブ生成機構最近の話題」と題して基調講演し,その後「フラーレンとナノチューブの生成機構」についてパネルディスカッションする。(神保 進一)

【写真1】フラーレン・ナノチューブ研究会代表幹事の篠原 久典氏
【写真1】フラーレン・ナノチューブ研究会代表幹事の篠原 久典氏

【写真2】Wolfgang Kratschmer氏のC60フラーレン大量合成法
【写真2】Wolfgang Kratschmer氏のC60フラーレン大量合成法

【写真3】第25回フラーレン・ナノチューブ記念シンポジウム実行委員長の谷垣 勝己氏
【写真3】第25回フラーレン・ナノチューブ記念シンポジウム実行委員長の谷垣 勝己氏