三井物産がMEMS技術の新会社設立,光通信やSNP解析など向けの新デバイス開発へ
三井物産が設立したナノテクノロジー関連の開発会社は,BNRI(バイオ・ナノテク・リサーチ・インスティチュート),CNRI(カーボン・ナノテク・リサーチ・インスティチュート),INRI(アイ・エヌ・アール・アイ)に続いて4社目(いずれも本社東京,2001年12月21日付,2002年10月7日付の記事参照)。
DNRIの社長に就任した三井物産のナノテク事業(http://www.mitsui.co.jp/nano/japanese/index.html)の室長である前野拓道氏は,「40代前半までの若い主幹研究員を中心に,柔軟な体制でスピーディーに開発を進める。2003年の第2四半期までに,若手研究員を募って20人程度にまで増強したい」と,抱負を語った。また,現在,進めている10プロジェクト(図2)すべてで,2003年中にプロトタイプを完成し,2004年には具体的な事業化に取り組み始めるという。具体的には,データ伝送速度10Tbit/sの超高速光通信ネットワークの実現に不可欠な波長補正デバイスや,SNPタイピング用の処理能力を1000倍に高めてコストも1/100に低減できる3次元構造の解析用チップなどを開発していく。
例えば,このうち波長補正デバイスは,DNRIが独自に開発するナノ構造を持つフォトニック結晶導波路を用いるもの。データ伝送速度が高まると,光の波長による伝送速度のずれが生じ,データ伝送用のパルス信号が時間的に広がって,前後に伝送しているパルス信号と部分的に重なってしまう「クロストーク」という現象が生じてしまう。そのため,これをリアルタイムに計測し,補正するシステムが必要になる。同社は,リアルタイム計測のための「フェムト秒スコープ」というデバイスも同時に開発する。「2010年ころの実用化が目指されているデータ伝送速度160Gbit/sでも,この波長補正デバイスが必要になるはず」(主幹研究員の小川憲介氏)。
当初の資本金は11億円で,三井物産が全額出資する。また,今後3年3カ月の間に投入する19億円の研究開発費も,三井物産が供出する。(日経ナノテクノロジー 桜井敬三)

【図1】DNRIが新ナノデバイスの開発に利用するナノインプリンティング技術(記者会見の発表資料より)

【図2】DNRIが進める研究開発テーマ。4分野で合計10プロジェクトが進行中(記者会見の発表資料より)

















