阪大FRC,ナノテクe-ラーニング講座を2003年4月開講へ ─ 大学改革の一環
ナノテクは,情報通信デバイス,生命科学,環境/エネルギーなど,将来的にはさまざまな産業分野の共通基盤技術となる。しかし,現在のところ大学にはナノテクを専門的に教える講座や教科書はほとんど無い。このため阪大FRCは,大阪大学が持つ世界で最先端のナノテクを“武器”に,e-ラーニングによって受講者と意見を交換しながら徐々に講座の質を向上させていく。ナノテク分野は進歩が速く頻繁に教科書を書き換える必要があるが,常に最先端の情報を発信しながら逆に学外の受講者から最新の情報を得て教科書を書き換えることができる。また,ナノテク分野に従事している研究者や技術者は非常に多忙なため,授業を受けるにしても時間と場所の制約がある。このようなケースに対して,e-ラーニングが役立つと阪大FRCは考えている。
ただし河田氏は,この試みを阪大のためだけに発展させる考えではない。まず阪大FRCがe-ラーニングの口火を切るが,賛同する他の大学の参入を歓迎している。同氏が考える大学改革は,大学に合格した学生だけでなく,卒業生を含めた一般の人々が常に最先端の技術を自分が希望する大学の教官から学ぶことができるようにすること。「受講生が教官と授業内容を選んで評価できるようにしたい。日本の将来を真剣に考えた時,時代遅れの内容や,わかりにくい授業を強制的に受けさせられることはマイナスになっている」(河田氏)という。
2003年に阪大FRCが開講するナノテクのe-ラーニング講座では,全国のどの場所でも阪大の教官と双方向で質疑応答できるシステムを構築する。将来的には,日本語に加えて英語での受講もできるようにし,海外の研究者や技術者も利用できるようにする考えもある。このシステムの利用について阪大FRCは,個別の企業,各地の商工会議所などの団体,個人などと契約し,受講者には専用のIDとパスワードを配布して自宅でも利用できるようにする計画である。
受講料はまだ決まっていないが,阪大FRC経営企画役員の坂井均也氏は,「5〜10回の授業のパッケージとして,一般的な専門講座よりは安価にしなければ」と考えている。併せて,「約8割はe-ラーニング,残り2割は教室での授業とし,講師と生徒が直接触れ合う機会は不可欠」(坂井氏)と言う。機構長の河田氏も,「ナノテクには実験が付き物なので,実際に実験室に集まって試料や分析データを見ながら議論する機会が必要。全部をe-ラーニングにするつもりはない」と付け加えた。(日経ナノテクノロジー 黒川 卓)
【写真】e-ラーニングの授業風景。前方左画面に映っているのは阪大FRC機構長の河田聡氏。右前方は河田氏のプレゼンテーションデータ
















