東芝は5m以上離れた場所にあるコンクリート構造物の内部欠陥を音による振動で検査できる「コンクリート音響探傷システム」を開発した。点検対象の構造物に対して指向性スピーカーで可聴音を発生させ、音によって生じる対象物表面の微細な振動を計測して内部の浮きや空洞などの状態を可視化するシステムである。指向性を持たせて音を照射するので、点検員は耳栓などをしなくても作業できるという。2015年7月22~24日に東京ビッグサイトで開催された「インフラ検査・維持管理展2015」で披露した。

 トンネルや橋梁などのコンクリート構造物の既存の点検方法では、点検員による目視やハンマーの打音による点検が主流となっている。近年は老朽化する構造物が増える一方で、少子高齢化などによる点検員の不足が懸念されている。また高所など点検員がアクセスしにくい場所は足場の設置や高所作業車が必要なことから、安全面や作業の効率性、コスト面でも問題を抱えている。