IT機器で発展してきたEthernetが今、新領域に挑んでいる。クルマと産業機器だ。クルマは車載AV機器やカメラなどに使う情報系ネットワーク、産業機器では独自のプロトコルを前提に、バラバラにEthernetを活用していた。リアルタイム性を備えたEthernet TSN(Time Sensitive Network)の登場で、IT機器も含めて標準規格に一本化される大統一の姿がみえてきた。

 ICT(情報通信技術)を支える有線通信インターフェースの主役として発展を続けてきたEthernet。そのEthernetが新たな領域への浸透を始めている。クルマや産業機器の分野だ(図1)。Ethernetは元々、通信品質を保証しない「ベストエフォート」の思想の下に作られた。そのため、伝送遅延や伝送ジッター(ゆらぎ)、時間同期といったリアルタイム性の実現に必要な要素は、考慮されていない。一方、クルマや産業機器では機器を素早く正確に制御するために、リアルタイム性が必要だ。この溝を埋めることで、Ethernetが新分野に進出しつつあるのだ。

図1 クルマと産業機器で異なる対応
大容量が望まれるデータセンター向けには高速化を進める一方、リアルタイム性や高信頼性などが求められるクルマや産業機器向けに領域を拡大する動きが加速している。
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