2020年の東京オリンピックでは、スポーツの視聴スタイルが大きく変わる。「決められた映像を決められた時間に、リビングルームのテレビの前にわざわざ出向いて見る」という制約から解放され、多彩な視聴方法で楽しむようになる。こうした変化は、映像機器やサービスのビジネスに大きなチャンスをもたらす。日本メーカーにとって絶好の機会が訪れる。

「今日は体操競技の決勝だ。G難度の宙返りを、選手と同じ視点の360度映像で楽しもう。ユニフォームのセンサーで選手の緊張も直に伝わってくるから、自分もドキドキだ」「今のシュートは危なかった。ゴールラインテクノロジーの映像で分かったけど、あと3cmで相手ゴールが決まっていたよ」「ドローンでヨットレースの見方が変わった。空からの俯瞰で見ると、風でヨットの進行方向が大きく変わる様子がよく分かる」「いよいよ最終日のマラソンだ。優勝争いとは別に、気になるのは自分と同郷の選手。沿道の観戦者が撮影した動画をつなぎ合わせて、各選手の一部始終を見せてくれるサービスが始まったから、スタートからゴールまで、頑張りを見届けられるよ」

スポーツの楽しみ方が広がる

 これらは、東京オリンピックが開催される2020年の、スポーツの視聴スタイルのイメージだ。「決められた映像を決められた時間に、リビングルームのテレビの前にわざわざ出向いて見る」というこれまでの視聴スタイルから大きく変わる。視点や画角、時間や場所といった、これまであった制約が取り払われ、見たいときに見たい場所で、思い思いの映像を楽しめるようになる(見開き参照)。