「ラジカロック」は、ゴムの分子と樹脂の分子を架橋結合させることで、完全に一体化させる結合技術である。ゴムはエチレン・プロピレン・ジエン・ゴム(EPDM)やシリコーンゴムなどの過酸化物架橋型の合成ゴムを使う。化学結合のため、接着の場合とは違って接着界面がなく、接合強度が大きいことが特徴だ。
今コラムの前回(2015年7月号)では、ラジカロックの技術的な特徴を説明した。今回は利用例や、導入する際の留意点などを解説する。
部品複合化の構造的バリエーション
ラジカロックでの作業の流れを復習しておくと、先に成形しておいた樹脂部品をゴムの金型にインサートし、その後にゴムを注入して架橋反応を起こさせる。この時点でゴムと樹脂の分子が結合する。従来の製造法に比べて、表面を粗くする工程や、プライマーや接着剤を塗る工程がなくなるのが長所である(図1)。金属へゴムを加硫接着する場合の従来の工程と比べると、ラジカロックでは表面粗化工程や、脱脂工程など表面への改質が全く必要ない。