前回(2015年7月号)で、「会社を信じる心」「自主性の尊重」「顧客との感動の共有」を柱として個のやる気を引き出す枠組みを紹介した。こうした枠組みはとても大事で、これが3Mにおいて、イノベーションの成功の確率を高めていることは間違いない。

 しかし、当然のことながら枠組みだけではダメだ。イノベーションの成否は、結局は人にかかっている。そのため、最後の決め手になるのは、マネジャーが部下に対してどんなコミュニケーションを取り、どんなお膳立てを行い、どんな指示をするかという現場でのマネジメントである。

 今回は、人を生かすための心のマネジメント、すなわち部下の「心を動かす」マネジメントの鉄則を紹介する。これは、イノベーションの設計図のみならず、全ての組織の運営において最も基本となるマネジメントである(図1)。

図1 イノベーションの設計図 組織の設計編
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