短期間に試作品を得るという目的は、現在の3Dプリンティングの応用としてはほんの一部にすぎない。最終製品を造ったり、生産現場で使われる治工具や型を造ったりといった活用がかなり広がっている。しかも、製造装置としてだけでなく、設計から生産、販売、保守にまで至るプロセス全体を変革するようなイノベーションの基盤として3Dプリンティングが使われ出しているのだ。海外よりもその進捗が遅れているといわれる日本だが、その状況は変わりつつある。日本の強みを生かした、3Dプリンティング・イノベーションが始まろうとしている。
日本発 3Dプリンティング・イノベーション
目次
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世界中から知恵を集めて開発を加速
オープンソース化で攻める
3Dプリンティングによるイノベーションとして、これまでと最も大きく変わろうとしているのがオープンソース化の流れだ。自社で開発した製品の形状データなどをインターネット上で公開し、それを基に世界中の人に試作してもらうことは、3Dプリンターが普及したからこそ容易になったと言える。オープンソース化の取り組み…日経ものづくり
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装置・材料をユーザーと共同で開発、世界に類を見ない先進性を追求
2015年6月、技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)が金属3Dプリンターなどの開発に関する中間成果を公表した。実に9台もの試作機を造り上げていたことが明らかになった。日経ものづくり
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製造装置としての活用に期待感、87%が「ノウハウの蓄積が重要」
調査テーマ「3Dプリンティング/AMの活用実態と課題」
3Dプリンティングの導入目的は、依然として試作用途が多いものの、最終製品や治工具などの作製といった、製造装置への利用も進み始めている。その際、3Dプリンターで何でも造ろうとするのではなく、3Dプリンターでなければ造れないものへの応用を指向する考え方が目立ってきた。さらに、使いこなしを進めていく上では…日経ものづくり
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擦り合わせで日本企業にチャンス、活用と技術の両面で独自性を発揮
「2020年ごろには、スピードは10倍、造形サイズは4倍、精度は5倍、価格は半分になる」。このような予測の下、3Dプリンティングの活用に力を入れている企業がある。石油プラントや発電所などで使われるバルブ類のメーカーである日本ドレッサー(本社東京)だ*1。同社の刈羽事業所は2013年後半に樹脂3Dプリ…日経ものづくり
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装置を生かせるノウハウで勝負
最終製品を造る
ここ数年で3Dプリンターの価格は大きく低下した。主に個人での利用を想定した機種ではあるが、10~20万円程度の価格は一般的となり、10万円を切るような製品も登場している。ただし、最終製品を造ることを考えた場合には使える材料の物性や造形精度、造形速度などの点で不十分だと見る向きも多い。日経ものづくり
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現場のカイゼン効果をさらに高める
治工具や型を造る
3Dプリンティングは、最終製品の製造に向けた治具や型を造るための手段としても有用だ。製造現場で使われる治具や工具などは、日々のカイゼンの中で必要性が生じる。そのカイゼンの本場である日本では、3Dプリンティングの特徴を十分に把握することで、より効率的な活用方法が生まれる。一方、型への適用に関しては、既…日経ものづくり