クルマのヘッドライトの進化が止まらない。光源が、LEDやレーザーへと変わっているだけではない。開発の方向性が「明るく照らす」ことだけにとどまらず多様化している。例えば、配光を細かく制御したり点滅させたりして、これまで見えにくかった視界を鮮明にする。ヘッドライトを歩行者や周囲の車両とのコミュニケーション手段にする研究も進んでいる。これらの開発は、車載カメラとの連携による“知能化”が前提となる。

 今、ヘッドライト技術が急激に変貌している。既に光源が白熱(ハロゲン)電球やHID(high intensity discharge lamp)からLEDやレーザーに進化して明るくなってきた。加えて、機能面でも大きく進化しつつある(図1)。自動車メーカーやヘッドライトメーカーが「安全性をさらに向上させるため、ヘッドライト技術を積極的に活用しようとしている」(小糸製作所 取締役副社長 技術本部長 システム商品企画室・知的財産部・研究所 担当の横矢雄二氏)ためである。

図1 ヘッドライトの進歩が激しい
ヘッドライトは、前方を照らす、自車の存在を知らせるという機能をますます高度にしている。光源のLED化で可能となったマトリックス化や高速点滅(光変調)と、ADAS(先進運転支援システム)向けカメラとの連携で、より鮮明な視界が確保される見込みである。道路前方に矢印などを表示させることでコミュニケーション手段にもなりそうだ。
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 2020年ごろまでにヘッドライトの役割は、遠くまで明るく照らすだけではなくなる。車載カメラやITS(Intelligent Transport Systems)からの情報を生かし、点滅(光変調)や緻密な配光制御によって、従来では得られなかった視界を実現することになりそうだ。