布地に印刷したLED用配線(上)と回路パターン(下)
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 布地に印刷するだけで微細な電子回路パターンを形成できる。このような新しい導電性インクを、東京大学 大学院工学系研究科教授の染谷隆夫氏らが開発した。電子回路を印刷した布地を引っ張って元の長さの3倍に伸ばしても、高い導電性を維持できるのが特徴である。染谷氏らは開発した導電性インクを使って、タッチセンサーや、筋電計測センサー用の回路を試作した(図1)。

図1 布地に1回の印刷で回路を形成
(a)は布地に印刷した回路(左)と、導電性インク(右)。回路は縦にも横にも伸ばせる(b)。筋電計測センサー用の回路を試作した(c)。今回の試作デバイスは100kHzまでインピーダンスが一定なことを確認している。(写真:(a)は本誌、(b、c)は東京大学の染谷研究室が提供)
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 この技術が実用化されると、伸縮する布地をプリント基板のように使えるようになる。将来は、スポーツウエアに筋電センサーを印刷してトレーニングに活用したり、脈波や脳波などの生体情報を検出できるセンサーを印刷して医療や福祉に活用したりできる可能性がある。