「ソニーらしい、ユーザーに“ささる”商品を作りたい」(ソニー 新規事業創出部 担当部長の小田島伸至氏)――。

「Seed Acceleration Program(SAP)」と呼ぶ新規事業創出プログラムをソニーが始めてから約1年。同社が次なる布石を打った。クラウドファンディングとEコマースのサービスを兼ね備えたWebサイト「First Flight(ファースト・フライト)」を2015年7月に開設したのである(First Flight)。同サイトにおいて、SAPを通じて生まれた事業化の初期段階にあるプロジェクトに対して、「市場ニーズの検証」「顧客との直接的な対話を通じた共創型の開発・商品改善」「タイムリーでかつ規模に対して最適化された販売」などを可能にする。

 中でも重視するのが顧客との直接的な対話である。「一般的なクラウドファンディングでは、プロジェクトが成立する(目標金額を達成する)と顧客(支援者)とコミュニケーションが断絶しやすい。First Flightでは、プロジェクト成立後もコミュニケーションを取り続ける。これが大きな違い。顧客の要望をなるべくフィードバックして、量産するギリギリまで改善を重ねたい」(小田島氏)と意気込む。

 クラウドファンディングを開始する前のコンセプト段階から、First Flightでプロジェクトをティザーとして公開し、ユーザーからの意見を集約することも考えている。

SAPについて説明するソニーの小田島氏