「業界に革命を起こす」。そう公言して憚らないのがハイアールアジアの伊藤社長だ。パソコンメーカーやコンテンツ業界など異色の職歴を経てきた「新参者」の視点で、意表を突く家電製品や新サービスを畳み掛けて発表する。持ち運ぶ洗濯機「コトン」を発売するなど、アイデアをビジネスに育てる段階に入った同氏の思惑を聞いた。(聞き手=今井拓司、中道理)
――持ち運んで服の染みなどを洗濯できる「コトン」を2月に発売するなど、アイデアをビジネスにする段階になってきました(関連記事)。
結構皆さん驚かれるんですよ。「本当に出しちゃったんだ」っていうのがやっぱ多いです。それから「この短期間でよく出せるね」っていうのが、次に多い声ですかね。コトンはもともと(発売が)3月だったんですよ。それを僕がどうしてもバレンタインデーに間に合わせようということで、いつものように無茶ぶりをしまして。
おかげさまでスタートとしては非常に順調です。弊社のWebサイトだけでやって、宣伝もそんなにしていないにも関わらず、こんなに出るんだなと。コンスタントに注文をいただきました。この間、中国で発表したところ、一挙に3万台(の注文)が初日に入りましたから。この9月にIFAがありますよね、そこで発表することになりまして。世界向けです。
(冷蔵庫に液晶パネルを付けた)「DIGI」もIFAで世界デビューします(関連記事)。僕が目指してるのはあくまでもプラットフォーマーなんで、コンテンツ供給者とタイアップしていきます。DIGIが世の中に広がれば広がるほど、うちもやりたい、私もやりたいとくるはずなんです。DIGIには(「デジタル額縁」とみなした液晶ディスプレーにコンテンツを配信する)intergalleryコンセプトも若干入りますけど、もっとゲームに近い部分もあります。例えばスマホのアプリでもぶわーっとありますよね。一応、(DIGIは)Androidベースなんで。
社内で「(DIGIは、ソフトバンクの家庭用ロボット)Pepperみたいなもんですよね」っていうから、「いやいや、全然うちのがすごいよ」と。まず、ものを冷凍冷蔵できますよ。同時に何が冷蔵庫の中に入ってて、賞味期限・消費期限がもう切れますよっていうのまで教えてくれます。それによってディスプレーでオーダーもできちゃうんです。ネットショッピングもできます。あともう1個、僕が力を入れてるのが見守り系のサービスです。この機能はPepperとかいろんなロボットも持ってますけど、冷蔵庫って毎日開けるもんですから。開かなかったら今日は開けてないよっていうのをスマホで教えてくれるとか。