米RelayRides社
個人車を貸し出し、カーシェア市場で急成長

 

 RelayRides社はカーシェア事業で急成長を遂げている会社の一つだ。同社はクルマを貸したい個人と借りたい顧客とを仲介する(ピア・ツー・ピア)サービスを展開している。米国の各都市で事業展開しており、サンフランシスコやボストンを中心に全体で数千台のクルマが登録されている。

 2010年に創業した同社はその後、米Google ventures社などから出資を受け、2012年から現在にかけて会社の経営規模が35倍に急成長したという。同社の強みをRelayRides社Director of PR & Community のSteven Webb氏は「安さ」「豊富な品ぞろえ」「利便性」と分析する。

 カーシェアにはさまざまな形態がある。事業者が提供するもの以外に、RelayRides社や米Getaround社が手掛ける個人車を貸し出すもの、電気自動車(EV)に特化したものなどだ(表)。さらに自分で運転しない人は、米Uber社などの個人によるタクシー事業や相乗りサービスも選べる。

表 スマホを利用した車の新サービス
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 個人車を利用すれば初期投資が不要なため、レンタル料を安く抑えられるメリットがある。さらにクルマの種類が豊富であるのもユーザーにとって魅力だ(図)。スマホの予約サービスアプリは自社製で、使いやすさと利用地の多さから選ばれるのだという。

図 RelayRides社は個人車の貸し出しを仲介
数千台の個人車が登録されており、レンタル料の安さや多様なクルマを選べる点が魅力。

 あるデータによれば、車を所有していても一日のうち9割の時間は使用していないとされる。所有者もクルマを貸し出す方が使っていない時間に収入を得られる点で効率を高められる。

 また同社はクルマの貸し借りに評価制度が重要な役割を果たすとしている。借りたクルマが汚れていたり、逆に貸したクルマが破損して帰ってきたりすれば、相手に低い評価が付く。評価の低いユーザーはサービスを利用できなくなるため、自然と利用時に気を付けるようになる。

 今後、同社は「従来の大手カーレンタル企業に勝つこと」を目標にしている。「米国におけるカーレンタル市場は570億ドル(1ドル=124円換算で7兆680億円)規模に上るので、まだまだ成長の余地がある」(同氏)とした。

 日本のカーシェアではクルマを貸し出す場合、所有者が事業者の登録手続きをする必要があり、費用もかかる。一方、カリフォルニア州などでは仲介業者の審査だけで済むため、障害が少ない。こうしたことから個人車のカーシェアは、さらに拡大することが予想される。