図1 ハードウエア開発の障壁を取り除く
(図:ルネサス エレクトロニクス)
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図2 開発に必要なツールを用意した「Renesas Synergy Platform」
(図:ルネサス エレクトロニクス)
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図3 時間とコストを削る
ルネサス側で開発の基礎的な部分を提供することで、開発の手間を省く。(図:ルネサス エレクトロニクス)
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 ルネサス エレクトロニクスがIoT(Internet of Things)機器向け半導体市場の開拓に本腰を入れ始めた。この分野は既に米Broadcom社や、米Intel社、米Qualcomm社、伊仏合弁のSTMicroelectronics社など半導体業界の巨人企業がしのぎを削る場でもある。ルネサスは、同社製品を利用した場合の開発・商用化の容易さで勝負する。機器開発のプロセスを洗い出し、開発者が組み込み機器の開発で直面する障害をできる限りなくし、開発着手から市場投入までの時間を短くした(図1)。

 IoT分野への本格参入の切り札とするのが、2015年12月に提供を開始する「Renesas Synergy プラットフォーム」と呼ぶ機器開発環境である。ルネサスが開発したマイコンと、そのマイコンを採用した開発ボード、OSやドライバー、ソフトウエアの開発環境、クラウドベースの開発支援環境を含む(図2)。

 ハードウエア開発に必要な環境をすべてルネサス側で用意するので、ハードウエアに開発に付随するOSのポーティング作業やドライバーソフトウエアの調整、ミドルウエアの設計、開発ツールの選定などに必要以上に 頭を悩ますことなく、IoT機器が作れるとする(図3)。

 開発ボード上でのソフトウエアの動作保証やサポートもルネサスが提供するため、開発者が不具合の原因を究明する際の労力を最小化できるという。「開発ボード上でのソフトウエアの動作保証までしている半導体メーカーは他にはない」(ルネサス)。開発したシステムはそのまま量産に適用できる。

 こうした施策により、システム開発者は、「従来の組み込みシステム開発にかかる時間が1年~1年半の場合において、開発期間を半分~2/3の半年~1年に短縮することが可能」(ルネサス)とする。