データセンターでは、画像認識やセキュリティ、ビッグデータ処理などの用途でFPGAが使われるという。(図:Intel社)
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 「最先端の半導体技術を真っ先に使って正しい製品を市場に投入した者ほど、シェアを取り、成長してきたことは歴史を見れば分かる」(米Intel社CEOのBrian Krzanich氏)1)。Intel社とFPGA大手の米Altera社は2015年6月、Intel社がAltera社を買収することで合意した。買収金額は約167億米ドル(約2兆円)。Intel社として過去最大である。同社の狙いは今後大きく成長する市場の覇権を握ること。そのために不可欠の技術として、Altera社が手掛けるFPGAを選んだ。

 Intel社が目指すのは、データセンター向けとIoT向けのプロセッサーである。Altera社の買収で、これらの市場に向けた製品の開発力を強化できる。加えて、一般管理費などのコストの削減や製造面での相乗効果も見込める。Intel社は、今回の買収で生まれる価値の6割が前者、4割が後者によると見積もる。

 ここに来て、半導体業界で大型のM&Aが相次いでいる。今回の発表の4日前には、米Avago Technologies社が米Broadcom社を370億米ドル(約4兆6000億円)で買収することを表明した(関連記事)。いずれもIntel社と同様、新市場をにらんで自らが狙った分野の開発力やコスト競争力を強化する狙いと見られる(関連記事)。日本の半導体メーカーはこうした動きから取り残されている。巨大化する海外企業と体力面で差がつきつつあることは否めない。