電動車両関連の国際的なシンポジウム・展示会である「International Electric Vehicle Symposium and Exhibition(EVS 28)」が2015年5月3~6日、韓国ソウル市のKINTEXで開催された(図1)。シンポジウムの全体セッションでは、日韓欧米の大手自動車メーカーの幹部クラスが登壇。電動車両に関する現状や展望、開発戦略について語った。

図1 EVS 28の展示会の会場
多くの電動車両やその部品が出展された。
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全てのラインアップで電動車両

図2 Hyundai MotorグループSenior Vice PresidentのKi Sang Lee氏
5月4日の全体セッションに登壇した。
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図3 Hyundai Motorグループにおける電動車両の開発計画
2020年までに電動車両を22車種そろえる。
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 「2020年までに全てのラインアップで電動車両を揃える」。全体セッションの中でこう語ったのが、韓国Hyundai MotorグループSenior Vice PresidentのKi Sang Lee氏だ(図2)。

 同グループが電動車両の開発で強く意識しているのが、今後の排ガス規制や燃費規制の強化だ。年間平均で4~5%の水準で厳しくなっていくという。そのために必要と考えているのが、既存のエンジン車の電動化による燃費改善と、ゼロエミッションビークルの開発だ。同グループは、この両面から電動車両の開発を加速し、「2016~2020年にはハイブリッド車(HEV)を12車種、プラグインハイブリッド車(PHEV)を6車種、電気自動車(EV)を2車種、燃料電池車(FCV)を2車種に増やす」(同氏)という(図3)。

 HEVでは動的性能の改善を目指す。電動の4輪駆動システムや、前輪はエンジン駆動、後輪はモーター駆動といったシステムの投入を予定している。PHEVについては、HEVと部品の共通化を図りながら、EV走行距離を延長し二酸化炭素(CO2)の排出量を低減していく。EVについては、街乗りを意識した充電1回当たりの航続距離が100マイル(約160km)以下の車両と、長距離走行を意識した同航続距離が400マイル(約640km)以下の車両の2方向から開発を進める。

 FCVについては水素社会への移行をけん引していくことを目標に掲げる。そのために、小型で効率の高いシステムを実現するとともに、コストの削減を促進。2020年に向けた次世代FCVでは、システムの小型化・高効率化に加え、長距離かつパワフルな走行を可能にするとともに、現状のFCVに対して40~50%のコスト削減を図る。