黒田精工は欧州で、高効率の駆動用モーターコアの供給を年内にも始める。モーターコアを構成する電磁鋼板をアクリル系接着剤で接着する新工法を開発し、渦電流の発生を抑えた(図1)。同じ性能であれば電磁鋼板の枚数を減らせ、モーターの小型化も可能になる。

図1 モーターコアの強度を確保する方法
積層する電磁鋼板同士を、現在はかしめている。新しいコアは、接着剤を使い、鉄損を減らせる。
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 モーターコアは一般的に、厚さ0.25~0.35mm程度の薄い電磁鋼板を金型でプレスして造る。プレス時にかしめる(鋼板の面の一部を凹ませる)ことで上下の電磁鋼板を圧接している。

 ただ、電磁鋼板は、板厚の2乗に比例して鉄損となる渦電流が発生する。特にかしめた部分では板厚が大きくなり、損失が増えてしまう。このため通常は、できるだけ薄い電磁鋼板を積層するとともに、かしめる面積が少なくなるように設計するが、薄い電磁鋼板は加工性が悪い他、コアにしたときの強度が低くなるという課題があった。