国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)は2015年5月、クルマの安全性能を実車で試験する「自動車アセスメント」の2014年度結果を発表した。自動ブレーキで事故を予防する予防安全性能を新規導入し、安全性を総合的に比較できるようにした。評価の明暗を分けたのは、自動ブレーキの衝突回避性能となった。

 自動ブレーキの試験で最高スコアを記録したのはトヨタ自動車が2015年4月に発売した新型「カローラ」。予防安全パッケージ「Toyota Safety SenseC」を搭載する最初の車種である。10~50km/hで自動ブレーキのシステムの作動を確認しただけでなく、この全速度域で衝突を回避できた(表1)。

表1 自動ブレーキの結果(主要車種)
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 カローラに加えて、日産自動車「スカイライン」、富士重工業「レガシィ」なども同速度域で衝突を回避できた。2014年度の予防安全性能評価で評価対象となったのは37車種であるが、衝突による被害の割合が大きい35~40km/h域に対応していない車種が約半数に上った。35~40km/hの評価の配点を高くしているため、衝突回避できる車種とできない車種で得点差が開いた。

 さらに、国土交通省は2015年度の予防安全性能評価から、リアビューカメラの見え方を評価する「後方視界情報提供装置」の項目を新たに追加する予定だ。死角が生じて事故が起こりやすいバックでの発進時や、駐車時の支援を目的にしている。