脳を知らねば始まらない
 白い紙も夕日を浴びると赤くなります。それでも我々は紙の色を白と認識できます。この認識の過程には、目ではなく脳が関与しています。製品の色さえ、脳の仕組みが分からないと最適化できないと言えます。「答えは脳に聞け」(記事)の取材を通じて感じたことは、電機や自動車メーカーの長期的に脳、すなわちヒトを深く知ろうとする意志です。購入の意思決定をしている脳を錯覚させて売り上げを伸ばそうといった表面的な取り組みに終わるのではなく、脳を基礎から知る必要性を感じているようです。脳への関心の高まりは、数十年単位のトレンドになると確信しました。(三宅)

人間の無意識に価値
 「答えは脳に聞け」で取り上げた脳波技術との出会い。それは2011年に登場した「necomimi(ネコミミ)」です。これは装着者の脳波をセンサーで計測し、「集中度」や「リラックス度」などに連動して“ネコ耳”部分が動くヘッドセットです。既に10万台以上売れたそうです。開発者の1人であるプランナーの加賀谷友典氏によれば、新しい非言語コミュニケーション体験を実現するためにnecomimiを作ったとのこと。同氏は今後、言語化が難しい「人間の無意識」に価値が出てくるとみています。無意識を測る技術が、ますます重要になるでしょう。(根津)

M2M無線の「キラーアプリ」は何?
 Breakthrough(記事)で取り上げたM2M向けの中近距離無線技術は、「キラーアプリケーションが必要」という声を多く耳にしました。ホームネットワークが牽引すると言われていますが、仕様の乱立に加え、ネットワーク化のメリットが見えてこないのでなかなか市場が立ち上がりません。私はそれよりも「Industrie 4.0」などの産業向けが先行するとみています。導入が利用者の金銭的利益に直結するからです。(中島)