3Dプリンティング技術を実製品の製造に活用する事例が、日本でも増えてきている。精度や材質、造形速度などの点で不十分だと思われがちな低価格3Dプリンターを採用しつつも、きちんとした機能を持たせた製品を提供するメーカーや、発売と同時に3Dデータの公開に踏み切るメーカーも出てきており、3Dプリンティングによるものづくり革新がさらに加速しそうだ。

高性能なトランペット用ミュート

 MORITA(本社仙台市)が発売した「Mutio」はトランペット練習用ミュート(消音器)だ(図1)。トランペットの先端に差し込んで取り付けることで、操作感を損なうことなく消音できる。唇を振動させながら息の吹き込むバズィングに使うマウスピース用のアタッチメントも組み合わせてある。

図1 MORITAの「Mutio」とその使用イメージ
トランペット練習用のミュートと、バズィング用のマウスピース・アタッチメントのセットで提供する(a)。(b)はミュートをトランペットの先端に差し込んだ状態、(c)はマウスピースをアタッチメントに差し込み、さらにミュート本体に差し込んだところ。
[画像のクリックで拡大表示]

 当初は主にネット経由での販売だったが、2015年4月からは全国の楽器店での販売も開始した。吹いた際の抵抗感の軽さや低音域の安定性といった点が、世界各国のプロのトランペット奏者から高く評価されているという。