電気自動車(EV)に加えて、蓄電池にも参入することで、エネルギーの世界を根底から変えたい──。2015年4月30日、米EVメーカーのTesla Motors社(以下、Tesla社)の最高経営責任者(CEO)Elon Musk氏は、家庭向けと産業向けにリチウムイオン2次電池を使う蓄電池を発売すると発表した。

図1 Powerwallを設置したガレージとTesla社のEV「Model S」
太陽光発電システムで生み出した電力を蓄電池に蓄え、家電製品への給電やEVの充電に使うことを想定している。
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図2 Powerwallの外観
屋内だけでなく、屋外に設置することも可能だ。
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 Musk氏が狙うのは、多くの家庭や企業が二酸化炭素(CO2)を排出しない太陽光発電などで生み出した電力を蓄電池に蓄えて、有効利用する世界を実現することだ。「CO2を排出する化石燃料に頼る世界を抜本的に変えたい。Teslaの蓄電池はそのカギとなる」(Musk氏)。

 蓄電池は、現時点では価格が高かったり、蓄電容量が少なかったりすることなどから、普及があまり進んでいない。そこでTesla社は手ごろな価格と高い性能を両立させた蓄電池を開発し、市場に投入する。

 まず家庭向けは「Powerwall(パワーウォール)」という製品で、ガレージや住宅などの壁に設置する(図1、2)。主に昼間に太陽光発電システムで生み出した電力を蓄えて夜間などに取り出して毎日使用するタイプと、蓄えた電力を停電時などのバックアップ電源として使うタイプの2種類がある。