ディープラーニング技術の研究で今、最もホットなのが「RNN(recurrent neural network)」だ。パターン認識を得意とする通常のDNNと異なり、時系列データや文脈の扱いに優れるRNNは、人の知能に近い動的なシステムを構築するのに適している。RNNベースの先端研究の事例を紹介する。

 企業での実用にすぐに堪えるわけではないものの、ディープラーニング技術では、将来の人工知能を考える上で興味深い研究成果が次々と出てきている。与えられた画像から説明文を自動生成したり、ソートなどの汎用アルゴリズムを自ら獲得したりする技術だ。その多くがニューラルネットの一種であるRNNを用いている。RNNを見ずして将来のAIは語れないといえるほど、先端的な研究に欠かせない要素となっている。

 RNNが活用されるのは、RNNが他のニューラルネットにない重要な機能を備えるからだ。情報を蓄える記憶素子の機能である。通常のコンピューターでいえば、レジスターやキャッシュに相当する機能を実現できる。