ソフトバンク子会社のアスラテックで人型ロボットを動かすためのソフトウエア「V-Sido(ブシドー)OS」を開発する吉崎氏は、日本政府のロボット革命実現会議のメンバーに20歳代で選ばれた俊英だ。同氏が描くロボット社会の将来像と、その実現へ向けた取り組みを聞いた。(聞き手=今井拓司)

――これからどんなロボット社会が訪れるとお考えですか。

よしざき・わたる
1985年、山口県生まれ。2009年、経済産業省所管のIPA(情報処理推進機構)が実施した「未踏IT人材発掘・育成事業」に、プロジェクト「人型ロボットのための演技指導ソフト」が採択され、「V-Sido」を発表。その成果により、特に優れた人材として経産省から「スーパークリエータ」に認定される。2013年7月、アスラテック チーフロボットクリエイターに就任した。(写真:加藤 康)

 たぶんロボットという言葉って、ちょっと前のマイコンと一緒で、しばらくしたら消えてしまうと思っているんですね。以前は、いろいろな家電など何にでもマイコンが搭載される時代が来ると言われていたと思うんですけれども、今はそれが当たり前すぎて、マイコンという言葉って何だっけみたいな話になる。それと同じように、ロボットって日常のものに手足が付いて便利ならば手足を付けるし、移動できるといいものは移動するしというシステムのことを指していて、本当にそうなったらロボットとは呼ばなくなると思うんです。例えば炊飯器の扉が勝手に開くようになったとしても。

 今までマイコンによって、ちょっとした脳の機能を加えていたものが、さらに自分で動きだすようになる。歩く、タイヤで移動する、手を使って作業する、それら全部を引っくるめて、そういう便利な機能がちょっと付加されている未来。まずそれが来て、そのころにはロボットという言葉の意味も相当薄れているんだろうなと考えています。