ドイツDaimler社が、同BMW社を追撃する態勢を整えた。車種を増やし、小型車やSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)に力を注ぐ。BMW社に完敗した分野にも再挑戦する。(本誌)

 ドイツDaimler社が息を吹き返してきた。2014年の乗用車販売台数は174万台で、過去最高に達した(図1)。ライバルのドイツBMW社に販売台数で2005年に抜かれてから、差は開く一方だったが、ようやく差を詰めた。商用車の販売は好調を維持している。誇り高きDaimler社が積年の雪辱を果たすべく、BMW社を追撃する態勢を築くときと言える。

図1 世界販売台数の推移
2018年までの実績値と予測値。乗用車に加えて商用車も着実に伸びる。
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 Daimler社が最優先で取り組むのが車種を増やすことだ。保守的で新しい車両への取り組みが遅かった同社だが、2020年までに全く新しい車両を12種類発売すると宣言した。その中核が、FF(前部エンジン・前輪駆動)車向けのMFA系プラットフォームである。同プラットフォームを使い、世界的に好調なSUVの新しい車種を投入する。成果は出始めており、2014年に発売したMercedes-Benzブランドの「GLA」の販売が好調だ。

 フランスRenault社と日産自動車のグループとの協業も役立つ。世紀の合併とうたわれた米Chrysler社と破局した失敗経験を生かし、実利を重んじた小さなプロジェクトを積み重ね、着実に果実をもぎ取る。