トヨタ自動車やデンソーなどが出資するトヨタIT開発センターと富士通は、自動車のセキュリティーを高める取り組みで協業する。2社は2015年4月、自動車をハッキングから守る技術を共同で開発していることを明らかにした。

 2014年、トヨタを震撼させる出来事があった。著名なハッカーらが「プリウス」と米Ford Motor社の「Escape」をハッキングしたと発表したことだ。

 ハッカーは、現在米Twitter社に籍を置くCharlie Miller氏と、米IOActive社のChris Valasek氏。両氏は米国における情報セキュリティーのイベント「DEFCON(デフコン)」で成果を発表した。発表ではステアリングやドアなどを自在に操れることを証明し、ハッキングするのに必要な情報を詳細に書いた論文を公開した。

 ただ成果は広域無線通信網を使った遠隔攻撃ではなく、車両に乗り込んで実施するもの。この時点で脅威の度合いは小さいと言える。それでもトヨタに与えた衝撃は大きかった。「あれ(デフコンの成果)は危険すぎる」(同社関係者)との認識が社内で一気に広がった。