2013年5月6日の正午過ぎ、大阪国際空港(伊丹空港)に着陸して誘導路へ向かっていた小型ジェット旅客機の操縦室で、右エンジン火災検知装置の故障を示す注意メッセージが表示された。続いて右エンジン火災の警告メッセージも作動。同機は走行を続けながら火災への対応を実施し、駐機場で停止した後に消火剤を射出した。その後、右エンジンの防火区域内に火災の痕跡があったことが判明したが、幸い、乗員3人、乗客52人に負傷などはなかった。

 事故があった機体は、日本航空の子会社であるジェイエア(本社大阪府池田市)所属のカナダBombardier社製CL-600-2B19型機(以下同機、図1)。同機が日本航空の2362便として大分空港を離陸し、伊丹空港に着陸した直後にトラブルが発生した。2015年2月末に公表された運輸安全委員会の調査報告書(以下、調査報告書)を基に、その詳細な経緯と事故原因についてみてみよう1)

図1 事故を起こしたジェイエアのBombardier機
標準機で50人乗りの小型リージョナルジェット機。2013年5月6日午前11時半頃に大分空港を離陸し、同日正午過ぎに伊丹空港に着陸した後、誘導路を走行中に右エンジンの火災警報が鳴った。(写真:国土交通省)
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