再生可能エネルギーが電力系統に“悪さ”をするのを抑え込むために、蓄エネルギー装置を積極的に活用しようという機運が高まってきた。系統運用事業者だけでなく、再エネ発電事業者、ビルや住宅の所有者などにおいても蓄エネ装置を利用するメリットが認識されつつある。

 「もはや蓄電池などの蓄エネルギー装置に頼るしかない」(明星大学 理工学部 電気電子工学系 教授の伊庭健二氏)─。太陽光発電や風力発電といった、出力変動が大きい再生可能エネルギーの導入量が急増したことで、電力系統の安定化が大きな課題となってきた(図1)。2014年に九州電力などが、再エネの電力系統への接続を保留する事態となったのは記憶に新しい注1)

注1)これを受けて経済産業省は、再エネの固定価格買い取り制度の運用見直しを2014年12月に発表した。再エネ装置で発電した電力の出力を、これまでよりも細かく電力会社が抑制できるようにする内容だ。これによって、再エネの接続申し込み回答の保留を早期に解除するように促した。
図1 太陽光や風力の比率が高い
国内の再生可能エネルギーによる発電量は増加を続ける。その中でも、出力変動の大きい太陽光や風力の比率が高い。(図:環境省の資料を基に作成。図中の「直近年」は、太陽光や風力、中小水力、地熱は2013年末、大規模水力は2009年、バイオマスは2013年末のデータに2005年の黒液・廃材による発電分推計値を含む)。
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