ハイブリッド建機の投入や建機の遠隔監視サービス「KOMTRAX(コムトラックス)」など、建機に最新のエレクトロニクス技術をいち早く採用してきたコマツが、次のステージに向けて走り始めた。ICT(情報通信技術)をフル活用する建設現場の支援システム「スマートコンストラクション」だ。無人飛行体(ドローン)や自動制御に対応するICT建機、クラウドコンピューティングなどを使って現場の生産性向上を目指すシステムである。これらの技術を駆使することで現場の工事費を2~3割、人手を半分程度に減らすことができるという。2015年2月1日から子会社のコマツレンタルを通じて、中小の建設会社向けにレンタル形式で提供している。

 スマートコンストラクションには、大きく6つの機能がある(図1)。(1)ドローンに搭載されたカメラや3Dレーザースキャナーによる現場の測量と3Dモデルの作成、(2)完成図面の3Dモデル化、(3)シミュレーションによる施工計画の立案、(4)計画の変動要因となる土質や地下埋設物などのリスク調査・解析、(5)ICT建機などによる施工実施と進捗の見える化、(6)施工後のデータ活用、である。(1)と(2)の結果から(3)で施工計画を立て、(4)と(5)のデータを反映しながらPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回す。そして、このサイクルで蓄積した施工実績のデータを(6)で維持管理や災害時の復旧作業などに活用する。

図1 建設現場の施工を「スマート化」
コマツの「スマートコンストラクション」の概要。無人飛行体(ドローン)による測量で施工計画を立てた後、ICT建機などによる日々の施工実績や変動要因などのデータを反映しながらPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回す。(図:コマツの資料を基に本誌が作成)
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