「BMWグループが生産において、とりわけ重視しているのが、多様な車種を組み立てられるフレキシビリティー(柔軟性)だ。(需要が急減した)2008年秋のリーマンショックで、その重要性を痛感した」。ドイツBMW社で工場の生産企画を担当するStart-Up Strategy and OptimizationのHeadであるJan Knau氏は、同社の生産に関する考え方をこう説明する。

 その方針を象徴するのが約9000人が働くBMW社のミュンヘン本社工場だ。「3シリーズ」「4シリーズ」「Active Hybrid 3」などの5車種とエンジンを7種類生産する。2014年に完成車を約25万台、エンジンを約47万基生産した。完成車は、一つのラインで全種類を生産できる体制で、需要の変動に合わせて、各モデルの生産台数を調整する。

 BMW社はいかにして高い生産効率と柔軟性を両立しているのか。

 まずプレス工程では2011年に、プレス部品を製造するためのツールを交換する時間を15~20分からわずか3分間に短縮した。「レールウェイシステム」と呼ばれる仕組みで、ツールをスライドさせることで素早く交換する。