2015年3月2~5日にスペイン・バルセロナで開催されたモバイル業界の祭典「Mobile World Congress 2015」。ここで見えたのは、台湾MediaTek社と米Intel社のスマートフォン向け半導体で新たな秩序を作ろうという動きだ。
かつて米Qualcomm社とMediaTek社には、それとなくすみ分けがあった。ハイエンド端末向けはQualcomm社、普及価格帯端末向けはMediaTek社という形だ。最近では、スマートフォン(以下、スマホ)市場の変化によって、このすみ分けの形が崩れてきた。
中国のスマホメーカーの台頭である。MediaTek社が得意先とする中国スマホメーカーが力を付けてきて、普及価格帯だけでなく、ハイエンド端末も手掛けるようになってきた。
スマホなどモバイル機器の市場としての中国の存在感は、相変わらず大きい。実際、Qualcomm社にしても、中国市場を意識したミッドレンジやローエンドの「Snapdragon Processor」ICを、少し前から積極的に投入している。Qualcomm社が、MediaTek社の土俵に入ってきているのだ。
当然MediaTek社も対抗策を打ち出す。今回のMWC2015でLTE/W-CDMA/GSM/W-SCDMAに加えて、CDMA2000 1x/EVDO Rev. Aに対応したモデムを搭載したスマホ向けプロセッサーSoC「MT6735」を発表した(図1、図2)。これにより、世界中の移動通信事業者が使うほぼすべての方式に対応する。
CDMA2000はQualcomm社が開発した方式ということもあり、CDMA2000に対応したモデムは、基本的に同社が独占してきた。CDMA2000に対応したモデムをMediaTek社が提供するのは、今回が初めてである。
このチップはARM Cortex-A53を8個搭載しており、MediaTek社独自の消費電力-処理能力調整技術の「Corepilot」を搭載している。