半導体回路技術の国際会議「2015 IEEE International Solid-State Circuits Conference」では、目指すべき応用分野とそれに対する技術開発の方向性が見えてきた。IoTやビッグデータに向けた半導体である。この中で、機械学習技術、新しいサンプリング技術、非ノイマン型コンピューターなど、従来技術の延長線上にない技術が表舞台に躍り出てきた。

 2015年2月、半導体回路技術のオリンピックと呼ばれる「2015 IEEE International Solid-State Circuits Conference(ISSCC 2015)」が米国サンフランシスコ市で開催された。事前に登録された参加人数は3250人で、過去7番目に多く、リーマンショック後では最多だった。実際、立ち見が出るセッションが続出。休憩時間には人が会場にあふれて歩くのも困難なほどで、参加者の熱気を感じた。

Samsung 社が論文数で圧倒

 採択論文数が最も多かったのは韓国Samsung Electronics社だ。同社社長の基調講演を別にしても20件と他を圧倒した(表1)。次いで、韓国の大学Korea Advanced Instituteof Science and Technology(KAIST)の13件、米Intel社が10件、ベルギーIMECが9件、米IBM社、ベルギーKU Leuvenが各7件などとなった。

表1 組織ごとの採択論文数
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 日本からは、東芝と東京工業大学の各4件が最多。富士通研究所とルネサス エレクトロニクス、東京大学が各3件だった。もはや採択論文数で世界と競っていたかつての勢いはない。ただ、日本からの論文は数こそ少ないものの、内容は興味深く、画期的なものが多いようだ。