2025年、2035年のクルマに使われるパワートレーンはどうなるのか。電動化はどの程度進むのか。こうした疑問に答えるため、コンサルティング会社のアーサー・D・リトル(ADL)は、世界販売台数の8割を占める主要13カ国のパワートレーン予測を実施した。合計値から浮かび上がったのは、2035年でもエンジン車が主流を占めることと、プラグインハイブリッド車や電気自動車においても中国の存在感が高まることだった。(本誌)

 世界の自動車市場は、新興国における需要拡大を最大の要因として中長期的に安定した成長が見込まれている。2013年に6311万台であった乗用車需要の約8割を占める主要13カ国(日本、米国、ドイツ、フランス、英国、中国、ロシア、ブラジル、インド、インドネシア、タイ、マレーシア、オーストラリア)における販売台数は、2025年に8835万台、2035年に1億1907万台になることが見込まれる(図)。

13カ国合計のパワートレーン構成予測
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 一方、各国の環境政策、エネルギー政策、産業政策は今後ますます多様化していく。これにより、主要な市場において、主なパワートレーンの搭載比率がどのように変化していくかを見極めることは、自動車メーカーと部品メーカーにとって中長期の開発戦略を立案する上で重要になっている。

 そこで、ADLは世界中に拠点を持つ強みを活用して、乗用車における主要13カ国のパワートレーン予測を実施した。

 市場ごとの特性を踏まえ、各国・地域ごとに「急進(現状から最も変化が大きい)シナリオ」「中庸(最も蓋然性の高い)シナリオ」「保守(現状から最も変化が小さい)シナリオ」の3種類のシナリオを設定し、パワートレーン構成を予測した。