「『Industry 4.0』はFA製品に力を入れる当社にとってビッグチャンス。生産革新に積極的なドイツの自動車大手と密接な協力関係を築いていることが強みになる」。ドイツSiemens社のAutomation Products and Systems担当のVice PresidentであるThomas Schott氏はこう言い切る。

 Siemens社は、工場の自動化を支える多様な製品を揃えている。プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)、ヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)、工作機械を制御するコンピューター数値制御(CNC)、産業用パソコンなどが代表例だ。

 Industry 4.0では「工場のスマート化」に重点がおかれている。例えば、コンピューターなどで制御される多数の生産関連の装置が、会話するように相互に情報をやりとりして、状況を判断し、効率的な生産を実現させる(図1)。

図1 Industry 4.0に対応した生産ラインのイメージ
2014年4月にSiemens社が展示した「Industry 4.0」関連技術の自動車の生産ラインにおける利用イメージ。ロボットが工程ごとに生産ライン・コンベヤーと会話型のやりとりをしながら、車体にドアを取り付けていく。
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 Siemens社はIndustry 4.0に対応したものづくりの未来像を提示しつつ、既にある製品群を活用して、工場を進化させるソリューションを売り込んでいる。それが工場内の多数の産業機器を制御装置でつなぎ、統合的に管理することで生産効率を高める「TIA(Totally Integrated Automation)」だ。これはPLCやCNCなどさまざまな分野のFA機器で高いシェアを持つからこそ実現しやすい(図2、図3)。

図2 Siemens社のCNC製品
さまざまな工作機械を制御するCNCの「SINUMERIC」シリーズは欧州や中国で高いシェアを持つ。
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図3 Siemens社のPLC製品
PLCで世界シェアトップのSiemens社の主力製品「SIMATIC」シリーズは、自動車工場などで幅広く使われている。
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