「機械製品や電気製品の設計開発担当がいつも同じ顔ぶれでは、画期的な製品開発ができない。その都度能力のある技術者や企業と協力しなくては。CADベンダーとしてそれを支援する機能を提供していく」。仏Dassault Systemes社は3D-CAD「SOLIDWORKS」に関して開催したイベント「SOLIDWORKS WORLD2015」*1で、この考え方を前面に押し出した新製品を発表した。

*1 2015 年2月8日~11日に米アリゾナ州フェニックスで開催。約5000人が参加した。

クラウドベースの製品を新たに追加

 同社はイベントの会期中に、工業デザイン用ツールの「SOLIDWORKS Industrial Design」を発表。さらに、構想設計用ツール「SOLIDWORKS Conceptual Design」について、間もなく出荷予定のマイナー・バージョンアップ版での機能強化の内容も公表した*2

*2 2014 年に同社が発売した当時は「SOLIDWORKS Mechanical Conceptual」という名称だった。

 この2 つは、同社の3Dデータ共有基盤「3DEXPERIENCE」上で動作するツール*3。データを3DEXPERIENCEの管理下に置くことで、他のアプリケーションでデータを共用できる。さらに3DEXPERIENCEが持つ3Dデータ表示機能とSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のような機能で、さまざまなメンバーに3Dデータを提示し、それについてのコメントが得られる。SOLIDWORKS Industrial Design、同Conceptual Designとも、単にモデリングの容易さだけではなく、3DEXPERIENCEを通して協力者とのやりとりが可能なことを特徴としている。

*3 SOLIDWORKSの開発会社である米Dassault Systemes SolidWorks社(以下Solid-Works社)は、1997年に買収によってDassault Systemes社の傘下に入った。既存のSOLIDWORKSの開発の中心は現在もSolidWorks社だが、SOLIDWORKS Industrial Designや同Conceptual Designの開発にはDassault Systemes社本体とSolidWorks社の両方が関わる形になっている。

 既存のSOLIDWORKSユーザーにとって微妙なのは、3DEXPERIENCE上で管理する3DデータはSOLIDWORKSと直接のデータ互換性がなく、3D-CAD「CATIA」のデータそのものであることだ。このため、Dassault Systemes社は、既存のSOLIDWORKSの開発を継続することを強調し、かつSOLIDWORKSと3DEXPERIENCEのデータのやり取りを可能にする「SOLIDWORKS Connection」を整備することを3DEXPERIENCE上のツール開発の前提としている。